塾講師の見解はこちらです
「紹介」は「縁故」と違い、きわめて簡単です。
紹介するほうも気楽ですし、紹介を受けたほうも”ハイへお聞きしましょう”で片がつきます。
「縁故」の話を満ち込む大半がこの紹介に入ると見られ、本人のみが、「縁故」だと独り合点しているのではないでしょうか。
本当の意味の「縁故」をよくご理解ください。
二例をあげて説明しましょう。
ある女子学生が、有名企業への受験を目指しました。
その学生の通性・能力から判断しても、入社できるレベルの実力は認められ、たびたび相談に乗っていました。
しかし、その企業は、なんらかの「紹介」のある学生しか受験できない困った企業でした。
受験者全部に紹介者を要するということは、全員同じ条件となり紹介者のないのと同じになります。
とすると強力な紹介者でなければ意味がなりなります。
しかし、その女子学生には誰も知人がいませんでした。
実力で勝負させても絶対に負けない人材でしたので、私は人並み以上の積極性と説得力で闘うよう指示しました。
しかしなんらかの紹介者を求めるのが条件ですから苦労しましたが、1か月間の努力が実り、毎日のように話を聞いていれたその企業の人が、彼女の熱意に負け、進んで紹介者になってくれました。
もちろん本人に実力のあったことは事実ですが、いよいよ受験資格を手に入れ、存分に実力を発揮した結果、多くのライバルを尻目に、その学生のみ内定しました。
彼女は現在も嬉々として通勤しており、その企業でも重要な存在となっています。
このことから私は「紹介」「縁故」は自分でつくるもの、と説明しています。
だいたい自分の生涯設計のいちばん大切な就職、ことに自分自身のことを他人まかせでいいものでしょうか。
まともに闘うには不安がある者に限って、「縁故者」探しに走り回ります。
一般的にいって自分の足りない部分を「縁故」という条件で穴埋めして闘おうなどもってのほかと思います。
彼らは、もともと「縁故」分だけ力量が不足しているのですから窓際族予備軍となって当然です。
就職は自分の実力のみで正々堂々と勝負せよ、と声を大にします。
学生本人はともかく、両親までが「縁故」探しに走り回る話をよく聞きますが、実力のある者は「縁故」無用ですし、ヒモつきで入社すると、以後の本人評価にも無関係とはいえません。
実例で説明しますと、ある有名企業の社長の名刺を持った学生が、相談にやってきました。
その名刺を見て私もあまりの大物であるのに驚き、懇意にしている人事部長に面談を申し入れ、事の次第を話し、あなたの会社の社長の関係者だからよろしく、といいましたところ、「この会社は社長個人のためにあるのではない。
多くの社員がそれぞれの実力を発揮することによって、社会に貢献しているのでへいくら社長がなんといわれようと、通性・能力のない学生は絶対採用しない」とその名刺を持って役員室へ行かれたのにはド肝を抜かれました。
通俗的には、自分が勤めている会社の社長の紹介名刺があれば無条件かと思っていた私自身、なんだか恥ずかしくなり、さすが天下の大企業、と驚くやら感心するやら。
実に大したものです。
結局、その学生は不採用になりました。
ついでにもう一つ、笑えぬ実例をあげます。
ある地方の公務員を目指す学生の母親の話です。
なんとかして子供を身近に置き、公務員として勤めさせたいと思い八方手をつくしてやっと1人の「縁故者」を見つけ、いくらかの金品を持って挨拶に行きへ採用を依頼し、心に休まりをおぼえながら発表を待っていました。
しかし不運にも合格内からはるかに遠く、不合格だったようです。
これであきらめればなにごともなかったのですが、挨拶のときに手渡した金品が、不合格だったがために惜しくなったようです。
こともあろうに、この相談が私に持ち込まれました。
これには驚きました。
「ご自分で納得されたことは、ご自分で解決されては」と申して、お引き取り願いました。
なんともばかげた話です。
最後に「縁故応募」の場合によくあるケースを紹介しておきます。
幸いにして「縁故者」が見つかり、話が進んでいくと、往々にして「大学の推薦状をもらってくるように」といわれることがありますが、大学では「学校応募」の場合の推薦決定者以外には正式な推薦状が出ないのが普通です。
本来的な「縁故」であれば大学推薦状など必要と思われるのが間違いで、「縁故者」の推薦状は必要であっても、大学とは関係がありませんので念のため。
また、受験手続き等すべては、縁故者の指示によって手ぬかりのないよく。
とくに、その企業と関係の深い人が縁故者である場合には、事後絶対に迷惑のかからぬよういっそうの留意が必要です。
企業はどのような学生を採用するのかという質問をたびたび受けますが諸君もよくわかるように、健康で、頭が悪くなくて、感性が優れていてと、いろいろな条件が考えられます。
しかし、この項では発想を逆にして、”どのような学生が採用されないか”の条件を記したいと思います。
私は、長年一貝して、学生の就職相談に応じていますがときおりへ”こんな大学生がいたのか”“この学生は採用されなくて当然”と思わせられる学生が目につきます。
私の長い経験にもとづく予感が、ほぼ的中することが多く、自分でも驚いています。
さて、思いつくままに、気になる企業の”求めない人物像”を列記します。
”優”の数のみ多くてほかにとくえのない学生もちろん、学業成績は悪いより良いほうがいいのは当然のことですが、いわゆる”優”の数の多いことが有利とは限りません。
企業の採用基準は、健康状態・人物・感性・興味・協調性等多くのポイントがあり、そのなかの一つに学業成績がある程度で、むしろ成績よりも、人物・人間性・可能性を重視します。
また、成績の良い学生に限って、そのことで自分自身を過大評価し、他人に自慢げにふるまい、そのために、相手に鼻もちならない悪い印象を与え、かえって反感を抱かせる結果になりかねません。
企業の中には多くの職種があり、いろいろなタイプの若者を必要とします。
成績のみを武器にする者は、往々にして、社会性に欠け、協調性に乏しく、孤立する傾向があり、マイナス要因になっています。
②学生時代に燃えつきた学生筆記試験や面接だけで、ことに短時間で人間のすべてを知ることは不可能です。
そこで一応の大枠の基準に入っておればよいのですが、生涯経費が三億とも四億ともいわれる人材採用の決め手は、変化の時代に対応できるフレキシブルな頭脳と、仕事に食いついてゆく覇気です。
学生時代にすべてを燃やしつくし、燃えカスのよくな人間は、まずバイタリティーの欠如と可能性の欠規と判定されます。
身体も思考も言動も態度も言葉づかいも、若年寄のような人はふるい落とされ”何かをやりそうだ”と感じさせなければ、採用には結びつかないようです。
③可もなり不可もなり無難に大学生活を送った学生大学生活の中身がすべて惰性であったというようなタイプの学生は、いっさい、お呼びではないということです。
研究課題でも、クラブ活動でも、サークル活動でも、何か一つのことに成果が認められ、そのことが個人の人間形成に役立っていれば大きく評価され、積極性・協調性・指導力・忍耐力に加点されます。
ただなんとなり大学というところに属し、といって、大学組織への帰属意識も低く、これといった目的も成果もなり卒業した、という学生はきわめて不利です。
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